4月16日(金)PM、新宿三井ビルの倭国CAでセミナーに参加してきた。
http://www.ca.com/jp/events/item.aspx?e=216293
・【実機で試そう!】 CA ARCserve Replication r12.5ハンズオン無償トレーニング
今までもARCserve r12.5シリーズの製品発表会や販売店向け説明会などにも行ったことがあるが、今度は実機を利用したハンズオントレーニングと言うことで、会社の同僚と2人で申し込んだ。
2人で1台のマシンを使うので、ちょうどいいかな。
(写真1)ARCserve Replication r12.5ハンズオントレーニングの資料
1台の構成のPCにWindows Vista、そしてVMware Workstationがインストールされており、VMware Workstation上ではWindows Server 2008が2つ動作していた。
ゲストOSのWindows Server 2008のうち、片方をマスタ側、もう片方をレプリカ側とする。
マスタ側がファイルサーバの本番系で、この共有フォルダを待機系であるレプリカ側に複製する。
で、ゲストOS上にARCserve Replication r12.5をインストールと設定を行うトレーニングだった。
インストールは容易。GUIが倭国語なだけではなく、ユーザインタフェースがわかりやすい。
レプリケーションの設定のことをシナリオと呼ぶ。
設定はシナリオ、マスタサーバ、レプリカサーバに対して行う。
どの設定がシナリオなのか、マスタなのか、レプリカなのか、この辺はちょっとわかりにくい。
まあ慣れなんだろう。
私自身、レプリケーションソフトはいくつか扱ったことがある。
VERITAS Storage Replicatorは、あるプロジェクトで評価したことがある。
後継製品のVERITAS Replication Execはあるお客さんで利用中。
Symantec Backup Exec Continuous Protection Serverも別のお客さんで利用中。
一番最近ではEMC RepliStorをいくつかのお客さんに導入した。
Storage ReplicatorやReplication Execは既に過去の製品。
Backup Exec Continuous Protection ServerはBackup Execに同梱される製品で、あくまでもおまけレベルであり、レプリケーション専門の製品には及ばない。
で、最近はEMC RepliStorをお勧めしていた。
RepliStorは私が扱っているコンピュータメーカもOEM版を出しており、サポート体制もある。
TBクラスのファイルサーバでも実績があり、なんと世界規模で20,000社の導入実績がある。
本番系と待機系が1対1であれば、コンピュータ名とIPアドレスをフェールオーバーさせることもできる。
日中はリアルタイムのレプリケーションで、夜間に全ファイルをスキャンした同期処理も可能。
もちろんファイルの所有権やアクセス権の複製も可能。
この辺はRepliStorもARCserve Replicationも同じ。
RepliStor 6.3とARCserve Replication r12.5の違いで気づいた点は、いくつかあった。
■共有属性の転送
待機系にフェールオーバーしたとき、待機系サーバを即時利用できるようにするため、RepliStorでは本番系のフォルダ共有の設定や解除を待機系にも転送可能。
ARCserve Replicationにはその機能はなさそうだった。
その場合、ARCserve Replicationでは待機系に切り換え後、管理者は必要なフォルダを手動で共有する必要がある。
■待機系の書き換え制御
RepliStorでは待機系のサービスが正常に動作している限り、複製の受け側フォルダの書き換えはできないように制御されている。
ARCserve Replicationでは待機系の受け側フォルダも書き換えできてしまう。
この辺は共有属性の転送機能の有無による違いかもしれないが、RepliStorの方が安心感があることは確か。
■データリストア機能
RepliStorの残念な点はデータのリストア機能がないこと。
本番系に障害が発生して待機系に切り換えた後、本番系が回復したとする。
その間は待機系のファイルが更新されるわけだから、待機系から本番系にデータを複製しなおす必要がある。
ARCserve Replicationでは管理画面にリストアボタンがあるから、一発で完了。
RepliStorにはリストア機能がないため、待機系から本番系に複製する設定(スペシフィケーション)を行った上で手動で同期させなければならないのが結構面倒。
■ワークグループ環境でのアクセス権転送
Active Directoryのメンバになっていれば、両者ともアクセス権や所有権の転送ができる。
しかしワークグループ環境の場合、ARCserve Replicationは本番系のアクセス権と所有権がSIDのまま待機系に転送されるため、つまり待機系では例によって暗号のような文字列の不明なSIDのユーザがアクセス権に付いてしまう。
RepliStorではSIDの転送とユーザ名の転送が選択できる。
ユーザ名を指定した場合、本番系と待機系それぞれのローカルユーザの同一ユーザ名としてアクセス権を転送することができる。
それぞれのサーバで別々に同一ユーザ名を登録する必要があるが、ワークグループ環境の場合、RepliStorのユーザ名によるアクセス権の転送は非常に便利。
■巻き戻し機能
両者とも本願系の変更内容をトランザクションログとして一時的に保存する点は同じ。
ARCserve Replicationではそのトランザクションログを利用して、本番系に加えられた変更を任意の時点に巻き戻すことができる。
複製元フォルダ全体を巻き戻すので、フォルダ内の複数のファイル間では整合性を保つことができるが、個別にファイルを指定しての巻き戻しはできない。
RepliStorには巻き戻し機能はない。
両者とも本番系・待機系それぞれでシャドウコピーから過去のファイルを戻すことはできる。
■自サーバ内でのレプリケーション
ARCserve Replicationでは自サーバ内でレプリケーションが可能。
想定している運用は、例えば内蔵の別RAIDパック、外付けハードディスク、ネットワーク上のNASなどに自分自身でレプリケーションができるため、サーバ1台構成が可能になる。
RepliStorでは1台構成は不可。(たぶん)
■対応アプリケーション
RepliStorはファイル共有、SQL Server 2005、Exchange Server2000/2003/2007のレプリケーションに対応。
ARCserve Replicationはファイル共有、SQL Server、Exchange Server、Oracleのレプリケーションに対応。(バージョンは不明)
■価格
ARCserve Replicationには、データベースのレプリケーション機能なしのファイルサーバ専用製品なら、保守費別でなんと9.8万円。
ARCserve Replicationの通常製品は1年間保守費込みで19.8万円。
ARCserve Replicationのフェールオーバー機能付きは、上位製品のARCserve High Availability r12.5で、1年間保守費込みで39.8万円。
RepliStorはすべての機能が込み、1年間保守費込みで30数万円程度。
ほとんどの場合はファイルサーバでの利用となるので、ARCserve Replicationのファイルサーバ専用製品の価格は激安。
管理画面のユーザフレンドリーさ、レポート機能の充実、低価格などを合わせて考えると、ARCserve Replicationはかなり魅力的。
フェールオーバー機能の有無、仮想環境用ライセンス価格などが異なるので、どちらが安いと一概には言えないが、多くの場合はARCserve Replicationが安価になるはず。
実績と機能でRepliStorもいいのだが、管理画面が少しわかりにくいのが難点か。