12月11日(金)に、新宿のマイクロソフトでセミナーに行ってきました。
Tech Fielders セミナー 東京 [仮想化
Hyper-V の高度な運用]
だって題材が
Hyper-Vの高度な運用、担当がマイクロソフトエバンジェリストの高添さん、安納さんとくれば、行かないわけにはいかないでしょう。
今回も新宿のマイクロソフト本社なんだけど、今までの5Fではなく、6Fのセミナールームだった。
広い会場に多くの参加者、皆さん真剣で熱気が伝わってきます。
(写真1)
Tech Fielders セミナー 東京 [仮想化
Hyper-V の高度な運用]のテキスト
話題はいくつかに分かれて説明された。
(1)
Hyper-Vの標準管理機能とSCVMM2008R2による仮想環境の統合管理
(2)
System Center Operations Managerによる仮想環境の監視と高度な運用
(3)マイクロソフトの運用管理ツールの全体像とこれから
その他に会部セッションとして某メーカ系SIerによる、
Hyper-Vによる仮想環境構築で陥りやすいポイントの説明や、例によって各者5分間のライトニングトーク、そしてお楽しみの抽選会やHappy Hourなどなど、例によって盛りだくさんの内容だった。
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(1)Hyper-Vの標準管理機能とSCVMM2008R2による仮想環境の統合管理
高添さんのセッション。
まずはおさらいとして、標準管理ツールであるHyper-Vマネージャの機能や操作法の確認。
それから
System Center Virtual Machine Manager 2008 R2による管理の説明。
今までも他の講習会などで説明を聞いているが、SCVMMはHyper-Vの機能を拡張するわけではなく、管理を便利にしたり自動化したりしてくれる管理ツール。
SCVMMによって何か新しい機能が追加されるわけではないから、そこのところはご注意を。
SCVMMサーバの主なコンポーネント(必要に応じて複数サーバで分散する)
・SCVMMサーバ
・SQL Server
・Windows
PowerShell・SCVMM管理コンソール
・SCVMMセルフWebポータル
・ライブラリ(ファイル共有)
管理されるHyper-V側はいたってシンプル
・SCVMMエージェント
管理対象のHyper-Vはフルインストール、Server Core、無償版のHyper-V Serverいずれも可。
ご存知のとおり、SCVMMのGUIで行った操作はすべてPowerSellのコマンドが生成され、それが実行される方法になっている。
もちろんその
PowerShellコマンドは公開され、管理者はそれをスクリプトとして再利用できる。
それから増え続ける仮想マシンとゲストOSの管理を容易にするため、ハードウエアプロファイルとゲストOSプロファイルをを標準化し、管理を効率化するする話。
仮想マシンの負荷の応じて低/中/高など数パターンの仮想マシンのハードウェアプロファイルを標準化する。
ゲストOSもバージョンやサービスパックなどを標準化する。
ゲストOSプロファイル使用時には、ゲストOSバージョンに応じたSysprepが自動適用される。
またSCVMMにはP2Vコンバート機能が提供される。
変換元が
Windows Server 2003 SP2/
Windows Server 2008/Windows XP SP2/Windows Vista SP1それぞれ以降ならOS起動中のままオンライン変換可能。
変換元がWindows 2000 Serverなら再起動によるオフライン変換となる。
SCVMMサーバから変換対象のWindows 2000 ServerにWindows PEを送り込み、Windows PEで再起動してP2V変換によりVHDファイルが作成される。
そのためSCVMMにはWAIK(Windows Automated Installation Kit)が含まれている。
ところがSCVMM2008R2に含まれるWAIKは英語版のため、SCVMMよりも先に倭国語版WAIKをインストールしておいた方がいい。
なんてお話も。
それからSCVMMが必要かどうか不明だが、
Windows Server 2008 R2ベースのHyper-Vからはメンテナンスモードが追加されたらしい。
VMware ESXには以前からあるので、VMware経験者にはおなじみかも。
該当ホストで仮想マシンが実行中の場合、ライブマイグレーション環境であれば仮想マシンが別のホストに移動し、そうでない場合は仮想マシンはサスペンドされる。
もちろんそれ以降に起動する仮想マシンは、メンテナンスモードのホストには配置されない。
これでライブマイグレーション環境でも安心してホストのメンテナンスができる。
ここでも1つ、VMwareに追いついた。
クイックストレージマイグレーションと呼ばれる、ストレージ間で仮想マシンを移動する機能も
Windows Server 2008 R2 Hyper-Vから追加された。
こちらは無停止ではなく、仮想マシンの短時間停止となっている。
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(2)
System Center Operations Managerによる仮想環境の監視と高度な運用
安納さんのセッション。
今後は仮想環境を含む運用監視のお話。
知らなかった。
System Center Operations Manager(以下:SCOM)の監視対象はWindowsだけではないんだね。
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/bb309428.aspx
・TechNet > System Center Operations Manager 2007 R2 でサポートされている構成
SCOMサーバはもちろん
Windows Serverだが、監視対象のエージェントのOSはいろいろ。
上記URLのエージェント欄、「UNIX または Linux オペレーティング システム」欄を参照。
・Windows 2000 Server SP4
・
Windows Server 2003 SP1以降
・Windows Server 2008 SP1以降
・Windows XP SP2以降
・Windows Vista
・AIX 5.3 (Power)、6.1 (Power)
・HP-UX 11iv2 (PA-RISC および IA64) および 11iv3 (PA-RISC および IA64)
・Red Hat Enterprise Server 4 (x64 および x86) および 5 (x64 および x86)
・Solaris 8 (SPARC)、9 (SPARC) および 10 (SPARC および 120012-14 より後の x86 バージョン)
・SUSE Linux Enterprise Server 9 (x86) および 10 SP1 (x86 および x64)
他にもSNMPに対応したネットワーク機器の監視もできる。
仮想環境であっても同じで、ゲストOS内にSCOMのエージェントをインストールすれば物理環境と同様に監視できる。
しかしSCOMのすごいのは、幅広いプラットフォームの死活監視だけではない。
管理パック(Management Pack)がさまざまなアプリケーションに用意され、しきい値による警告やエラー処理、また管理パックに含まれるナレッジデータによる対応方法の提供、それによる自動処理などが提供される。
マイクロソフトであれば
Active Directory、IIS、SQL Server、DNS Server、DHCP Serverなどなど、監視したいアプリケーションごとに管理パックが用意されている。
IBM、HP、富士通などからは、サーバのハードウェア監視用の管理パックが提供される。
Oracle Database、MySQLなどの管理パックを提供しているサードパーティベンダもある。
単純な死活監視、しきい値による監視だけでなく、ナレッジと対応方法の提供がSCOMの魅力なんだね。
管理パックの一覧は、TechNetの管理パックカタログを。
http://technet.microsoft.com/en-us/opsmgr/cc539535.aspx
・TechNet > System Center Operations Manager 2007 Catalog
さらにSCVMMとSCOMを組み合わせ、PRO(Performance and Resource Optimization)と呼ばれる機能が利用できる。
簡単に言うと特定の仮想化ホストに負荷が集中したときにSCOMでそれを検出し、SCVMMでコマンドを発行して仮想マシンを別のホストに移動させるとか。
PROについての説明はこれとか。
http://blogs.technet.com/systemcenterjp/archive/2009/08/28/scom-2007-scvmm-2008-pro.aspx
・Japan System Center Support Team Blog : SCOM 2007 と SCVMM 2008 の連携について (PRO 機能)
VMwareで仮想化ホストのCPU負荷が高くなったらVMotionで仮想マシンを別のホストに移動させるだけなら、DRSで「チェックボックスをONに」するだけでできるんだけど、PROならもっとも細かくさまざまな検出とそれに対応する自動処理ができる。
アプリケーションごとに監視できるから。
まあそのように自分で設定してスクリプトを作成すれば、なんだけど。
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(3)マイクロソフトの運用管理ツールの全体像とこれから
高添さんのセッション。
と、ここまでSystem Center Virtual Machine ManagerとSystem Center Operations Managerのお話。
System Center管理ツール群はもちろん、もっと大きな今後の流れについて説明があった。
・
Active Directory (人の管理)
・System Center Configuration Manager (構成管理)
・System Center Data Protection Manager (データ保護)
・System Center Operations Manager (稼動監視と対処)
・System Center Virtual Machine Manager (仮想化管理)
これらを組み合わせて、管理作業を極力自動化する方向に製品が発展するとのこと。
ITILの考え方の、インシデント管理、問題管理、変更管理とそれらをまとめるCMDBを網羅し、インシデント発生時にナレッジから自動で対処が行われると。
ああ、夢のような話だけど、近い将来はそうなるのかな。
また現在はホスティング事業者向けに提供されているDynamic Data Center Toolkitが、来年には企業内データセンターの管理向けに提供されるようになるらしい。(Dynamic Data Center Toolkit for Enterprises)
企業内クラウド、プライベートクラウドの構築と管理で利用するらしい。
今更ながらだけど、新しいことがどんどん出てきて付いていくのが大変。
しかも面識は無かったんだけど同じ会社の人がHyper-Vについて発表していて、ちょっと驚いた。
Happy Hourのあとで、その人と飲みに行ったんだけど、入社3年目の若手と聞いてまた驚き。
もうあとは若い人に任せる、って感じです。